映画雑感

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実話に基づく「タイタンズを忘れない」の時代背景から名言、その後…

タイタンズを忘れない (字幕版)

1.はじめに

『タイタンズを忘れない』は、ボアズ・イェーキン監督による実話に基づいた感動の映画です。

この映画は、1971年のヴァージニア州を舞台に、黒人コーチのハーマン・ブーンがフットボールチームを率い、人種の壁を越えてチームを団結させる様子を描いています。

この記事では、映画の背景である当時のヴァージニア州の黒人差別の状況や、登場人物たちのその後について詳しく解説していきますね。

 

※本記事では時代背景の問題を明確にするため、アフリカ系アメリカ人ではなく黒人という表記にしております。ご了承ください。

 

2.実話に基づく「タイタンズを忘れない」の時代背景から名言、その後…

2-1. 1971年当時のヴァージニア州の黒人差別の状況

1971年のヴァージニア州は、黒人差別が根深く残っていた時代でした。

当時の南部の他の州と同様に、ヴァージニア州でも黒人は公共施設や学校などで白人と分離されることが一般的でした。

例えば、公共のトイレやバスの待合室、レストランなどは、黒人専用と白人専用に分かれていました。

 

また、教育の分野でも差別が顕著でした。

黒人の子供たちは劣悪な設備の学校に通わされ、白人の子供たちが通う学校とは大きな格差がありました。

この不平等を解消するために、多くの黒人が法的な戦いを続けました。

1954年のブラウン対教育委員会裁判では、アメリカ最高裁が「分離すれど平等」という原則を否定し、公立学校の人種統合を命じましたが、その後もヴァージニア州では抵抗が続きました。

 

ヴァージニア州はまた、「大規模抵抗(Massive Resistance)」と呼ばれる政策を採用し、学校の統合を避けるために公立学校を閉鎖するなどの手段を取ることもありました。

このような背景の中で、黒人コミュニティは差別と戦いながらも、自己の権利を守るために立ち上がりました。

 

そういった時代背景で「タイタンズを忘れない」で描かれたドラマが存在しました。

 

2-2. 「タイタンズを忘れない」のハーマン・ブーン(Herman Boone)の名言やスピーチ

映画『タイタンズを忘れない』では、ハーマン・ブーン監督の名言やスピーチが多くの視聴者の心に残っています。

彼の言葉は、チームの結束と人種の壁を越える重要性を強調しています。

その中でも特に印象的なのは、ゲティスバーグでのスピーチです。

ゲティスバーグの戦場で、ブーン監督は選手たちに次のように語りかけました:

この場所がどこだか知っているか?ここはゲティスバーグだ。ゲティスバーグの戦いがここで行われ、5万人の若者が命を落とした。今もなお、私たちが戦っているのと同じ戦いで。ここは若者の血で赤く染まったフィールドだ。彼らの魂に耳を傾けろ。『悪意を持って兄弟を殺し、憎しみが家族を壊した』。彼らから学べ。今ここで団結しなければ、私たちも同じ運命をたどるだろう。お互いを好きになる必要はないが、尊重し合わなければならない。

"Anybody know what this place is? This is Gettysburg. This is where they fought the Battle of Gettysburg. Fifty thousand men died right here on this field, fightin' the same fight that we're still fightin' amongst ourselves today. This green field right here was painted red, bubblin' with the blood of young boys, smoke and hot lead pourin' right through their bodies. Listen to their souls, men: 'I killed my brother with malice in my heart. Hatred destroyed my family.' You listen. And you take a lesson from the dead. If we don't come together, right now, on this hallowed ground, we too will be destroyed -- just like they were. I don't care if you like each other or not. But you will respect each other"

 

また、彼は「最高の選手がプレーする。肌の色は関係ない(The best player will play, color won’t matter)」とも語り、能力を重視する姿勢を示しました。

さらに、彼はチームに対して「完璧を目指す」という高い目標を掲げ、「パスを落としたら1マイル走る。ブロックの任務をミスしたら1マイル走る。ファンブルをしたら、お前の尻に蹴りを入れて、それから1マイル走る。(You drop a pass, you run a mile. You miss a blocking assignment, you run a mile. You make a fumble, I will break my foot off in you John Brown hind parts and then you will run a mile)」という厳しいルールを設けることで、選手たちの集中力と努力を引き出しました。

ハーマン・ブーンの言葉は、単なるスポーツの枠を超え、人間としての成長や社会の壁を打ち破る力を持っていると感じました。

彼のスピーチは、視聴者にも深い感動を与え、今なお語り継がれています。

 

「水を飲むのは恥」的な描写がありましたが、脅威の前時代的発言なので、この部分は忘れるべきでしょう。

 

2-3. ハーマン・ブーン(Herman Boone)のその後

ヘッドコーチを務めたハーマン・ブーンは『タイタンズを忘れない』で描かれた1971年の成功後も、フットボールコーチとしてのキャリアを続けました。

映画の公開後、彼の人生は注目を集め、多くの講演や教育活動に参加しました。

彼は、スポーツを通じて人種の壁を越えることの重要性を説き続けました。

映画で描かれたシーズンの後も、ブーン監督は数年間T.C.ウィリアムズ高校のフットボールチームを指導し続けました。

彼のリーダーシップは、単に勝利を追求するだけでなく、チームの団結と多様性の尊重を強調するものでした。

引退後、ブーンは講演者として全国を回り、教育やリーダーシップ、そして人種間の理解を深めるための活動に専念しました。

彼の経験と知識は多くの人々に影響を与え、彼のメッセージは広く受け入れられました。

ハーマン・ブーンは2019年に84歳で亡くなりましたが、その遺産は『タイタンズを忘れない』を通じて今なお生き続けています。

彼の物語は、人種の違いを超えて共に協力することの力を示し、多くの人々に勇気と希望を与え続けています。

2-4. ゲーリー・バーティア(Gerry Bertier)のその後

ゲーリー・バーティアは、『タイタンズを忘れない』で描かれたT.C.ウィリアムズ高校のフットボールチームのキャプテンとして知られています。

映画の中で彼が経験した交通事故は実際の出来事に基づいており、1971年のシーズン終了後に発生しました。

事故によって下半身不随となったバーティアは、その後もポジティブな姿勢で人生を歩み続けました。

 

彼はリハビリを経て、車椅子バスケットボールや車椅子陸上競技に参加し、ショットプットで金メダルを獲得するなど、パラリンピックでも成功を収めました。

また、バーティアは障害者の権利向上に尽力し、障害者のためのスポーツプログラムやチャリティーイベントを主催しました。

彼は障害者のための「ウォーク・フォー・マンカインド」を設立し、障害者に対する意識を高めるための活動を行いました。

 

1981年、バーティアは再び交通事故に遭い、27歳の若さで亡くなりました。

この事故は飲酒運転によるもので、彼の死は多くの人々に衝撃を与えました。

 

バーティアの遺産は、彼の妹によって設立された「Bertier #42 Foundation(バーティア #42 ファウンデーション)」によって引き継がれています。

この財団は、脊髄損傷の研究を支援し、障害者の生活向上を目指して活動しています。*1

 

3.あらすじ

1971年、ヴァージニア州アレクサンドリアのT.C.ウィリアムズ高校のフットボールチームは、黒人と白人の統合が行われた新しいチームとなりました。

新しく任命された黒人コーチ、ハーマン・ブーン(デンゼル・ワシントン)と、長年の白人コーチ、ビル・ヨースト(ウィル・パットン)が協力し、チームを勝利へと導く物語です。

初めは選手たちの間に人種的な緊張がありましたが、ブーンとヨーストのリーダーシップの下、夏の厳しいトレーニングを通じて次第に団結していきます。

特に、チームキャプテンのゲーリー・バーティア(ライアン・ハースト)とジュリアス・キャンベル(ウッド・ハリス)の友情は、チーム全体の結束を象徴するものとなります。

シーズンが進むにつれて、タイタンズは無敗の成績を収め、ついには州のチャンピオンシップを目指して戦います。

この過程で、彼らは単なるスポーツチーム以上の存在となり、コミュニティ全体に変革をもたらします。

 

4.監督・脚本・登場人物

監督:ボアズ・イェーキン

脚本:グレゴリー・アレン・ハワード

登場人物:

ハーマン・ブーン(デンゼル・ワシントン)

ビル・ヨースト(ウィル・パットン)

ゲーリー・バーティア(ライアン・ハースト)

ジュリアス・キャンベル(ウッド・ハリス)

 

5.最後に

 

『タイタンズを忘れない』は、黒人と白人が協力し、困難を乗り越える姿を描いた感動的な映画です。

ボアズ・イェーキン監督の手腕と、実際の出来事に基づくストーリーが、視聴者に深い印象を与えます。

1971年のヴァージニア州の歴史的背景や、登場人物たちのその後の人生を知ることで、映画のメッセージが一層鮮明に伝わることでしょう。

ぜひ、この映画を観てその感動を味わってください。

 

熱い演説に心を打たれたいなら

 

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*1:この財団をウェブサーチしましたが、活動状況を調査しきれませんでした。