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難しいメメントを徹底解説〜真犯人、登場人物を分かりやすく〜

メメント [Blu-ray]

1.はじめに

クリストファー・ノーラン監督の難解作品の一つ「メメント」。

穴埋めパズルを解くかのごとく、二度、三度見て面白い作品です。

今回はそのパズルの完成品として、それぞれの登場人物や関係性を詳細に解説していきます。

項目ごとに分かるように説明しているので、多少中身が被っている点はご容赦ください。

 

 

 

2.難しいメメントを徹底解説〜真犯人、登場人物を分かりやすく〜

2-1. 妻を殺した犯人は誰?

犯人は、映画の主人公であるレナード自身です。

レナードは、妻が殺されたと信じ、その復讐をしようとしますが、彼は短期記憶を失う病気にかかっており、新しい記憶を作ることができません。

そのため、自分が実際に何をしたかを忘れてしまい、自分の行動を記録するために写真やメモを使っています。

 

映画の最後で明らかになるのは、レナードが実際に妻を殺したのは彼自身である可能性が高いことです。

彼は妻にインスリンの過剰投与をしてしまい、その事実を受け入れられず、心の中で妻を殺した犯人を「ジョン・G」という架空の人物にすり替え、復讐心を持ち続けているのです。

 

レナードは自分自身を守るために、記憶を操作し、自分が犯人であるという事実を隠してしまいます。

このため、彼は無関係の人々を「ジョン・G」として殺してしまうことになります。

 

 

2-2. ジョン・Gは誰?

「ジョン・G」とは、レナードが妻を殺したと信じて追い続ける犯人の名前です。

実際には「ジョン・G」という名前は一種の象徴的な存在であり、特定の人物を指しているわけではありません。

テディーもジョン・エドワード・ギャメルでジョン・Gと呼ばれる風の名前ですが、テディーが妻を殺したわけではありません。

 

レナードは短期記憶を失う病気のために、自分がすでに本当の犯人を見つけ出して復讐を果たしたことを忘れてしまいます。

しかし、その記憶の喪失と復讐心から逃れるため、彼は新たな「ジョン・G」を見つけ出し続けようとします。

実際には、彼の頭の中で「ジョン・G」という名前は一般的な名前であるため、誰でもその名前に当てはめることができ、無限に復讐の対象を探し続けることができるということを示しています。

 

また、テディ(後で詳しく説明します)の説明によれば、レナードが殺した最初の「ジョン・G」は本当に妻を襲った犯人だったが、その後もレナードは自分の復讐心を正当化するために「ジョン・G」という名前を持つ人々を殺し続けているということになります。

 

2-3. 妻が襲われたとき、死んでいなかった?

レナードが記憶を失った事件のとき、彼の妻はまだ死んでいませんでした。

レナードは自宅に侵入した犯人によって攻撃を受け、その時に短期記憶を失いましたが、妻はその時点では生きていました。

後に彼の妻はインスリンの過剰投与によって亡くなります。

この出来事がレナードの記憶に混乱を引き起こし、彼は妻がその時に亡くなったと信じ込むようになりますが、実際には彼女はその後に亡くなった可能性が高いです。

 

2-4. サミーは妻を殺したのか?

サミー・ジャンキスは、レナードの過去の保険調査の対象でした。

 

レナードが話すサミーはレナードと同じく短期記憶喪失に苦しんでいました。

映画の中でレナードは、サミーが妻のためにインスリンを何度も投与し、その結果、妻が過剰投与で死亡したと説明しています。

 

しかし、映画の終盤でテディが明かす事実によると、サミーの話は実際にはレナード自身の創作です。

サミーの妻ではなく、レナード自身が記憶障害の結果として自分の妻にインスリンを過剰投与し、彼女を死なせたのです。

つまり、サミーが妻を殺したのではなく、レナードがその出来事を自分から切り離し、サミーという架空の人物に置き換えることで、自分の罪を認めないようにしていたのです。

2-5. レナードの相棒のように振る舞うテディーは誰?

テディーは、本名はジョン・エドワード・ギャメルで、警察の腐敗した刑事です。

 

テディーは、レナードが妻を殺した犯人を追い続けるのを手助けしているように見えます。

ですが、実際には彼を利用して、自分の利益のためにレナードを操作しています。

テディーは、レナードが「ジョン・G」を探し続けることを利用し、犯罪者を次々にレナードに殺させています。

その過程でテディーは、レナードを利用してお金を手に入れたり、邪魔者を排除したりしています。

ジミー・グランツも利用されたうちの1人で、彼から20万ドルを騙し取ろうとします。

 

物語の最後で明らかになるのは、テディーがレナードに、彼が本当の犯人をすでに殺しており、その後も「ジョン・G」を探し続けることで復讐のループに囚われているという事実を告げることです。

事実を告げても10分で忘れるので、テディーが逆恨みに合うことは本来ありませんでした。

しかし、レナードは自分自身を欺いてテディーを新たな「ジョン・G」として認識し、彼を殺します。

 

2-6. レナードに殺されたジミー・グランツは誰?

ジミー・グランツは、麻薬ディーラーであり、ナタリーの恋人です。

彼はテディーによってレナードの標的にされ、レナードが「ジョン・G」を探している過程で殺されてしまいます。

ジミーは、ジミーが麻薬取引を行っており、テディーがその金を奪おうとするため、彼を利用してレナードに殺させます。

ドッドから借りがあったため、ジミー・グランツがいなくなったことが、ドットが恋人ナタリーに圧力をかける原因となりました。

 

2-6. バーテンダーのナタリーは誰?

ナタリーは、バーテンダーで、ジミー・グランツの恋人です。

また、彼女はジミーが麻薬の取引を行うのを手助けしていました。

彼女はバーで顧客の注文を受け、それをジミーに伝える役割を果たしていました。

 

ナタリーがレナードと最初に会ったのは、レナードがジミーの車を運転していたときです。

恋人ジミーと同じ車を運転していたので声をかけたのです。

服装も似た男に不審がり、短期記憶をからかいますが、最初は憐れみを持って対応します。

 

その後、ジミーのパートナーであるドッドから、ジミーがいなくなったことを聞かされ、20万ドルを肩代わりするよう圧力をかけられます。

ナタリーは、これによりレナードがジミーを殺したことに気付きます。

これに激昂しながらも、彼女は冷静に判断してレナードを騙します。

ナタリーは、レナードがジミーを殺したことに気付きレナードがメモできないように家中のペンを回収してから、レナードを騙してドッドを消すように仕向けるのです。

 

2-8. 銃を撃って追いかけてきた男、ドッドは誰?

ドッドは麻薬ディーラーで、ジミー・グランツに対して20万ドルの貸しがありました。

ジミーが行方不明になった後、ジミーの恋人であるナタリーに対して圧力をかけ始めます。

ナタリーはドッドからの圧力を回避するために、レナードを利用して彼を消そうとします。

 

2-7. モーテルの受付、バートは誰?

バートは、ただのモーテルの受付係です。

彼はレナードが宿泊しているモーテルで働いており、レナードに対してある程度協力的ですが、彼もまたレナードの記憶障害を利用しようとします。

 

バーは、レナードが短期記憶を失っていることを知っており、そのために彼に対して同じ部屋を二重に貸し出し、余分な料金を請求するなど、不正行為を行います。

 

 

3.あらすじ


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映画「メメント」(2000年、クリストファー・ノーラン監督)は、記憶障害を抱える男レナード・シェルビーが、妻を殺した犯人を追い求める物語です。

レナードは頭部を殴打されたことにより、短期記憶を形成できない「前向性健忘症」を患っており、新しい記憶を保持することができません。

そのため、彼はポラロイド写真やメモ、そして体に刻んだタトゥーを使って、自身の記憶を補いながら犯人を探します。

物語は、逆行するカラーシーンと順行するモノクロシーンが交互に展開する非線形の構造を持っています。

物語の始まりで、レナードはテディという男を殺しますが、その理由や背後にある出来事が明らかになるのは物語の後半です。

 

 

4.監督・脚本・登場人物

  • 監督: クリストファー・ノーラン
  • 脚本: クリストファー・ノーラン
  • レナード・シェルビー(ガイ・ピアース)
  • ナタリー(キャリー=アン・モス)
  • テディ(ジョン・エドワード・ギャメル)(ジョー・パントリアーノ)
  • ジミー・グランツ(ラリー・ホールデン)
  • ドッド(カラム・キース・レニー)
  • サミー・ジャンキス(スティーヴン・トボロウスキー)

 

5.最後に

 

 

2つの時間軸で進むクリストファー・ノーラン監督らしい作風のメメント。

仮に時間を遡らないで撮っていたら、ただの記憶障害者の殺人事件で終わりますが、それをここまで面白くできるのが監督の手腕なのだと納得させられます。

答え合わせしながら何回見ても面白い作品です。

以上、ありがとうございました。

 

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