映画雑感

見て楽しんで、知って楽しむ。

【映画】「とうもろこしの島」

ギオルギ・オバシュビリ監督の「とうもろこしの島」(原題: Simindis kundzuli)のご紹介です。

【あらすじ】
紛争地域の敵味方に挟まれる川の中洲で、ある老人が家を建て、とうもろこし畑を耕します。

【雑感】
1回目の視聴で読解力不足で理解できず「私は何を見たのだろうか・・・」という気分になりました。消化不良だったためインタビュー動画から理解した内容を解説したいと思います。

人間と自然との関係
まず、人間と自然との関係がメイントピックになっています。*1
人間は自然に依存していて、生まれてから死ぬまで、自然が日々の生活に結びついていることを表現しているそうです。紛争地域を背景としているのは、"人間と自然" に対する "人が持つ様々な問題"という比較対象を持ち込むためです。*2
自然に依存する人間にとって、紛争は些細な問題であることを表現しているのがわかります。

リアリティある自然との共存
川ととうもろこし畑のアイディアは、前作の脚本家とのミーティングで、川と地域の人々によるとうもろこしの耕作について実話を聞いて、そこから着想を得ました。*3
この中洲はなかなか見つからず、映画に登場する場所に至るまで2年以上かかったそうです。春夏秋冬を表現できる場所を探す必要があったのですが、自然はコントロールできず丁度いい撮影場所を探すまでにそれほど時間がかかってしまいました。運よく水位を調整できる場所が見つかり島を人工的に作り、本作の撮影に至りました。*4
とうもろこしの苗から刈り取りで春夏秋冬を表現しつつ、人間の始まりと終わりに自然が常に関わっているということの表現がインタビューを聞いてよく理解できます。

妥協しないキャスティング
主演女優は5,000人以上の候補がいましたが、自分の中で納得できるキャストなかなか見つからず、ネットで偶然発見した女性が選ばれたようです。*5
こだわっただけあって、この映画にピッタリ合っているように感じました。

【終わりに】
セリフがほとんどない映画で初見での理解が難しいですが、なかなか奥が深く、二度三度見れると思います。
理解できると点と点がつながって監督のメッセージを具に感じ取れます。
(読解力を鍛え直します。。)

 

 

*1:Interview with George Ovashvili / Rozhovor s Georgem Ovashvilim - YouTubeより。

*2: ČSFD Interview with George Ovashvili / ČSFD rozhovor s Georgem Ovashvilim - YouTubeより。こちらの動画は質問が的確でメインテーマを理解しやすかったです。

*3:*2に同じ。

*4:*1に同じ。

*5:*1に同じ。