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「コンスタンティン」の腕・手首・足・手のなぜを深堀りする【考察】

コンスタンティン (字幕版)

この記事では、特にジョン・コンスタンティンの腕、ガブリエルの手首、ルシファーの足・手に関する謎について深堀りします。

1.はじめに

映画「コンスタンティン」には、多くの象徴や隠された意味が込められています。

本記事では、ジョンの腕のタトゥー、ガブリエルの手首の患者証のようなバンド、ルシファーの足の汚れ、左手の使用理由について解説します。

 

 

 

2.コンスタンティンの腕・手首・足・手のなぜを深堀りする【考察】

(1)ジョンの腕のタトゥーはどういう意味があるのか

ジョン・コンスタンティンの腕にあるタトゥーは、映画の中で非常に重要な役割を果たします。

特に、「Into the light I command thee」*1という呪文を唱える際に使われるタトゥーは、隠されたものを明るみに出すための象徴です。

このタトゥーはアルカミスト(錬金術師)の「レッドキング」と呼ばれる錬金術のシンボルで、保護や力を象徴しています。

レッドキングのシンボルは、三本の矢が下向きに配置された火の三角形で、完璧な赤い王を象徴しています。

このシンボルは、錬金術において変容と完成を表しており、ジョン・コンスタンティンが使用するタトゥーにもその意味が込められています。

また、キリスト教の観点から見ると、タトゥーには神聖な力が宿っているとされ、悪霊からの保護や信仰の表現とされています。

 

アルカミスト(錬金術師)は、物質の変換や精神の浄化を目指す者として描かれ、レッドキングはその中でも特に強力な存在として位置づけられています。

実在したとされる錬金術師を2人紹介します。

① ジャービル・イブン=ハイヤーン

ジャービル・イブン=ハイヤーン(約721年 – 815年)は、アラビアの錬金術師、薬剤師、化学者、哲学者として知られています。

彼は多くの科学的著作を残し、「錬金術の父」とも称されます。

彼の著作は錬金術や化学の基礎を築き、後の科学者たちに大きな影響を与えました。

② パラケルスス

パラケルスス(1493年 – 1541年)は、スイスの医師、錬金術師、占星術師、哲学者です。

彼は化学療法の先駆者であり、現代の医学と錬金術を結びつけた人物として知られています。

彼の業績は、薬理学の発展に大きく貢献しました。

⬇パラケルススの錬金術本があるので、錬金術を実現可能らしいです。

 

 

(2)ガブリエルの手首にある患者証のようなものは何か

ガブリエルの手首に見られる患者証のようなバンドは、映画の監督によると、ガブリエルが行っていることの意味や人間のさまざまな側面を思い出させるためのものです。

作中で、PassionとSorrowという文字がかろうじて読み取れます。

もともとはティルダ・スウィントンの腕に直接書く予定でしたが、彼女の提案で最終的にこのバンドが追加されました。

バンドには「覚醒」「悲しみ」「情熱」など、ガブリエルの目的を思い出させるための言葉が書かれています。

これらはガブリエルが人類を試し、苦しみを通じて人間の高潔さを引き出すことを意図していることを象徴しています。

(3)ルシファーの足はなぜ汚れているのか

ルシファーの足が汚れている理由は、彼の堕天使としての性質を強調するためです。

映画のクライマックスで登場するルシファーは、地獄の支配者として描かれており、彼の外見はその役割を視覚的に表現しています。

汚れた足は、彼が地獄の底から這い上がってきたことを示唆しており、彼の堕落した状態と、純潔からの堕落を象徴しています。

 

 

(4)ルシファーがジョンを掴むとき、なぜ左手を使うのか

映画「コンスタンティン」におけるルシファーの左手の使用は、聖書やキリスト教の伝統に根ざした象徴的な意味を持っています。

これは面白いのでもっと深堀りしましょう。

以下にいくつかの根拠を示します。

 ① 聖書の記述:

「マタイによる福音書」25章41節:

神が「左側にいる者たち」に対して「呪われた者たち、私から離れ去れ」と言う場面があり、左側が否定的な象徴とされている。

「伝道の書」10章2節:

「知恵者の心は右に向かい、愚者の心は左に向かう」とあり、右と左の対比が道徳的な善と悪を示唆している。

「レビ記」8章23節:

祭司の任命において右耳、右手の親指、右足の親指に血を塗る儀式が行われます。これは右側が神聖さや清潔さを象徴することを示しています。

 ② 宗教的背景を前提とした芸術作品

ミケランジェロの「最後の審判」:

システィーナ礼拝堂の壁画で、キリストは中央に描かれ、右手で天国を指し示し、左手で地獄を指し示しています。

キリストの右側には天国に昇る者たちが、左側には地獄に落ちる者たちが描かれています。

これにより、右側が善、左側が悪の象徴として視覚的に表現されています。

「アエネイス」:

古代ローマの詩人ウェルギリウスの「アエネイス」には、右手が誓いの象徴として使われるシーンがあります。

右手を挙げて神に誓う場面が描かれ、右手が正義や誓約の象徴として扱われていました。

以上のように、左手が悪や不浄を象徴する根拠は多く存在し、映画「コンスタンティン」におけるルシファーの左手の使用もこれらの背景に根ざしています。

3.あらすじ

ジョン・コンスタンティンは、超自然的な存在を見分ける能力を持つエクソシストです。

生まれながらにその能力に苦しめられ、自殺未遂後に地獄を経験しますが、生き返ってからは悪魔と天使の戦いに身を投じます。

自らの魂を救うため、悪魔との取引や様々な儀式を行いながら、常に悪との戦いに挑んでいます。

ある日、友人のアンジェラが双子の姉妹イザベルの死の謎を解明するためにジョンに助けを求め、二人は調査を始めます。

 

 

4.監督・脚本・登場人物

監督:フランシス・ローレンス

脚本:ケビン・ブロドビン、フランク・カペロ

登場人物:
ジョン・コンスタンティン(キアヌ・リーブス)
ガブリエル(ティルダ・スウィントン)
ルシファー(ピーター・ストーメア)

5.最後に

 

 

映画「コンスタンティン」は、深い宗教的象徴と錬金術のシンボルが織り交ぜられた作品です。

ジョン・コンスタンティンの手足に関する象徴的な意味を理解することで、この映画の持つ深いメッセージに気づくことができます。

タトゥーやバンド、そしてルシファーの足の汚れなど、一つ一つの要素が物語に重要な役割を果たしています。

この映画を再度観る際には、これらの象徴に注目してみると、より深い理解が得られるでしょう。

キリスト教的観点を持つと映画が更に面白くなります。

⬇聖書を一から読まずとも、こちらの本で理解が深まります。


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*1:中二感全開で最高です。