ザッカンの雑感

映画を見て、契約読んで、クリームパンを食べて、今を生きてます。

「あの人いなくなってほしい」が叶うのは幸せか? - 映画「テルマ」(Thelma, 2017) -

監督・タイトル

ヨアキム・トリアー監督の「テルマ」(Thelma, 2017)。

あらすじ(ネタバレあり)

敬虔なクリスチャンの両親元で厳しく育てられた*1テルマ(エイリ・ハーボー)。

両親から離れて一人暮らしで大学生活を始めるが、図書館にいた女性を見た直後、突然テルマは痙攣を起こして倒れてしまう。(同時にカラスが建物に衝突する。)

その日から悪夢を見たり、痙攣を起こしたりと普段と違うことが起こり始める。

そんな中で、図書館で見た女性アニャ(カヤ・ウィルキンス)と友人として仲良くなる。

ある晩、突然アニャがマンションの外庭に現れる。

アニャがなぜ来れたのか2人とも理由は分からない。

しかしそれをきっかけに関係を深め、夜遊び、飲酒、喫煙など*2に興じるようになる。

キリスト教の教えに反してアニャと友人以上の関係になるも、教えとの葛藤に苦しみ、アニャと距離を置く。

(子供の頃のシーンに移る。)泣き叫ぶ赤ちゃんの弟をうるさいと思って目をつぶると、突然弟が消えてしまう。

(現在に戻る。)原因不明の痙攣を調べるため、連泊での精密検査を実施する。

精密検査中にテルマが痙攣を起こし、テルマも含め誰にも知られずにアニャが消える。

検査の結果、医師からはストレスによるものと診断されるが、ずっと前に死んだはずの祖母がまだ精神病棟にいると知らされる。

精神病棟に行くと、存命の祖母が自分と同じような苦しみを持っていることを知る。

アニャが数日間消息がつかめていないことが分かる。

アニャの部屋に行くと、ガラスに複数本の髪の毛が埋まっているのを見る。

- ここからはぜひご視聴ください。 - 

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感想

終始緊張が溶けず、じわじわとエンディングに向かっていく。

無駄なセリフはなく、喋る人間を撮るだけじゃ映画ではないんだ、という映画の良さここにあり、と感じさせました。

表現が稚拙ですが、めちゃくちゃ面白かったです。

さて、本記事タイトルに対する私なりの答えは、自分に害をもたらす人がいることも不幸だし、その人が思い通りにいなくなるのも不幸である、と思っています。

私は仏教徒ではないですが、ブッダの「人生の本質は苦である。」という教えは結構納得しています。

人は欲求が尽きません。

子供が欲しくて苦しかったけど、子供ができると子育てが忙しすぎて苦しい。

お腹が空いて苦しかったけど、食べたらお腹いっぱいで苦しい。

眠くて苦しかったけど、寝たら寝過ぎて苦しい。

お酒が飲みたくて苦しかったけど、飲んだら頭が痛くて苦しい。

そんなことが蔓延っています。

そんな苦しみから解放される手段に瞑想があります。

面白いのは、単に宗教的な修行に過ぎないと思える瞑想が、科学的にも精神を安定させる手段として非常に有効であるということが近年分かってきたことです。

英語ではマインドフルネスと言い、欧米で超大流行りの上で日本に逆輸入され、今の日本*3では「マインドフルネス」という呼び方の方が市民権を得ているかもしれません。

クリスチャンのテルマでも、仏教的な瞑想では無く、マインドフルネスとしての瞑想であれば受け入れられて本作のようなスリラーは起きなかったでしょう。

ちなみに以下の図書はアメリカのマインドフルネスブームの火付け役となった方の本ですのでご参考までに。

(ジョブスも愛読していたとのこと。)

 

以上読んでいただきありがとうございました。

*1:禁酒であったり、ロウソクにテルマの手を近づけて「地獄はこんな感じだ」と教えたり、毎晩心配で電話をかけるなど...

*2:ノルウェーでは喫煙、ビール、ワインは18歳、スピリッツは20歳からなので作中で違法ではない。

*3:歴史的に宗教色を帯びると敬遠されるのでカタカナの方が良いのかも