映画雑感

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【映画】「ショックウェーブ」

アダム・ハーヴィー監督による「ショックウェーブ」(原題: Shoke Wave, 2020)のご紹介です。
こちらはオーストラリアのABCが制作したドキュメンタリー映画になります。

【あらすじ】
2020年8月4日、レバノンの首都ベイルート港で起きた爆発事故について、被害者インタビューを通じて現場で起きた惨劇に迫ります。

【雑感】
偶然起きた事故ではなく必然的な人災
爆発事故の直接的な原因は港の倉庫に放置されていた約2700トンもの硝酸アンモニウムでした。モザンビーク行きの貨物船に積まれていたものが没収され、そのまま住民がすぐ近くにいる港の倉庫に積まれ、6年間も放置されていたのです。
国内関係機関から度々政府に対して警告がされ続け、2020年にはState Securityから“could cause full destruction of port”(港を全壊する可能性がある)とも報告されていたのですが、政府は危険性を知りながら対応を怠っていました。

リアルなCG処理以上の恐怖
最初の5分に事故の衝撃が凝縮されています。たくさんのカメラが事故発生時の状況を撮っていました。火災発生や小爆発時からのマンション住民や歩行者のカメラ、結婚式の撮影カメラ、歩道やマンションや病院の監視カメラ等です。本作品では最初の5分に様々な映像を提示し、その後、撮影していた方や被害に遭われた方にインタビューをして当時の具体的な状況に迫ります。
色々な映画で大爆発の映像を見ることはありますが、実際はあんなものではないと痛感します。紛争地で爆発が起きたという訳ではなく、幸せな日常が広がる港町で突然起きた大爆発で、天国から地獄に、とはまさにこのことだと思います。

【終わりに】
下のAmazonの画像に映っている切り立った崖のようなものは建物だったものというのですから本当に恐ろしいです。