映画雑感

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【映画】「2001年宇宙の旅」

スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」(原題: 2001: A Space Odyssey)のご紹介です。

【あらすじ】
1回目の視聴ですが、難解すぎてあらすじすら書けない状態です。
Wikipediaにも書いてあるのですが大幅なネタバレになる点はご注意ください。
2001年宇宙の旅 - Wikipedia
事前情報・ネタバレなしで見て、意味不明な状態を体感した方がいいと思います。
というわけで、以下【雑感】部分も見た上で読まれることをお勧めします。

【雑感】
難解なストーリー
謎の黒い物体、類人猿から猿人への進化、AIコンピュータの暴走等々、個々の内容は一応理解できるのですが全体の一貫したストーリーが私の理解を超えてしまいました。最初から集中して見る必要があり、途中の休憩(作品中にINTERMISSIONと表示されて実際に休憩時間がとられる)を挟んでやっと全部を集中して見られると思います。とはいえ集中したからといって理解できるものでもないと思います。
また、特にラストシーンが難解で、Wikipediaに解説があるのですがそれでも理解が難しく思いました。

音の表現力
本作はセリフが少なく、音の表現力が特徴的といえると思います。冒頭20分以上はセリフは全く存在しません。その代わり、あらゆる音(無音も含む。)が多用されますが、かといって(ストーリー自体が難解であることを置いて)セリフが足りずに内容が理解できないということも全くありません。この音による表現力の高さに感動しました。
日本のCMでも聞き覚えのある音楽が登場しており、この映画が元ネタということも分かります。

人が逆さに歩く表現力
宇宙をテーマにするだけあり宇宙船内の様子がよく映されるのですが、人が天井を、壁を、重力を無視して歩いている様子がとても不思議でした。カメラが動いているのか?セットが動いているのか?等、現代においてもその表現力に感嘆してしまいました。

HAL 9000の映し方
HAL 9000というAIコンピュータが登場し、度々このコンピュータのレンズが超クローズアップで映されます。超クローズアップは「そのストーリーにとって何か重要で意味のあるものだという期待を瞬時に抱かせることができます」が*1、無機質な表情のHAL 9000が超クローズアップで映されることにより、まずこれから何かをしでかすのだという恐ろしさを感じさせます。
個人的にHAL 9000を最も恐ろしく感じさせたのは、宇宙ポッドで2人の宇宙船員が会話しながら、その真ん中にHAL 9000が据えられているシーンです。宇宙ポッドは大型宇宙船に備え付けられている小型機で、ポッド内の声は外に聞こえない仕様になっております。そのポッド内で2人は、HAL 9000が故障しているから一部機能をシャットダウンしようという会話をするわけです。ポッドの小窓から部屋の奥にいるHAL 9000が映りますが、会話する2人の間、フレームの中心に、HAL 9000は小さなレンズを覗かるのです。ピンボケさせることでHAL 9000には会話内容が届いていないと一見して思わせますが、前述した通りHAL 9000が何かをしでかすことが示されている訳で、妙な不安感を覚えさせる構図になっています。

【終わりに】
解説を読むと一応理解はできるのですが、作品内だけで理解するのは到底無理ではないかとも思わせる本作。映画だけから内容を理解できないのは映画としてどうなのか?という疑問が湧きますが、世界中から非常に高く評価されており、魅力を感じるべきポイントがもっとあるのだと思います。
また色々な作品を見てから、こちらの映画を再度見たいと思います。その時はまた見方が変わるかもしれません。

以上読んでいただきありがとうございました。

 

本作でも引用した、映画の見方が変わる本も紹介しておりますのでこちらも時間があればお読みください。

zak-kan.hatenablog.com

 

*1:FILMMAKER'S EYE P.29より。これをヒッチコックの法則といいます。